悠想の道しるべ

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「今、来ましたよ。元気でしたか?」心を開くやすらぎ塔の想い出・・・

「あの、くるくる廻るやすらぎ塔を2基持ってきてくれないか・・」福島県の懇意にしてもらっている石材店社長から電話が入りました。20年以上前の事です。

おばあさんが来て、自分のお墓に置きたいとの事でした。おじいちゃんの墓参りに子供達はほとんど来ない。どうすれば来るのか。考えた末に幼稚園の孫に「あの、くるくるを回しに行こう。おじいちゃんが喜ぶよ!」と言って何とか墓参りに連れて行きたいとの事でした。今のままでは行っても何も出来ず、ただ立ったままの状態でした。線香を2~3本置いて手を合わせて終わりでした。子供はすぐ「早く帰ろう」と言うのでした。

インドや東南アジアの主な地域の寺院などでは、マニ車といって道端に色々な回る車を置いています。亡くなった故人に対して無言のお経を唱えるという意味があると聞いています。

また、文盲率の高い田舎の人々に、故人への慈しみを教えるもの(釈迦が)と聞いたことがあります。

そういえば日本でも50~70年位前には、普通にあったような気がします。「元気でしたか?今、来ましたからね」と身内の故人に話をかけゆっくりと供養するという事が当たり前のような時代があったかな・・・」と思います。

時が経つに連れて、回転する軸が木材の為、朽ちて次々に消滅してしまい、ほとんど見られなくなりました。回転軸を木ではなくステンレスで製作し石の円板を簡単に取り付けられるような構造で特許を取得したのは20年位前でした。

一般に東北の寺墓地は淋しく、特に黒みかげ石の和型が多く、昼でも薄暗く、子供達は簡単にお墓参りに行く事が怖くて出来ません。しかも、黒みかげ石は高級感があり、又、昔からその考えで、ほぼ全員が黒石で墓作りをしていました。

弊社は、法名碑(墓誌)が廻り、目の前に故人の戒名(又は本名)が現れ、故人との対話ができる動く商品を作りました。

又、少し遅れてお参りの時に「今、来ましたよ。元気でしたか?」と、くるくる廻る商品を開発しました。

この2つはお墓参りで〝石を動かし参拝者の心を動かす〟というコンプセプトに基づいております。

弊社と取引のある石材店様で理解ある方は、早速取り扱ってくれました。しかし弊社の営業で動ける範囲にしか知られませんでした。

先程のおばあさんは、2基買い求めました。1基は自宅用あと1基は娘へプレゼントするとの事でした。
今から小さい子に、少しづつ墓参りを教えることによりこの子が大きくなったら、又、その子の子供に教えていく事になる。このようにいい事を伝えて欲しいのでと言ってました。

寺墓地などに行くと、入口にマニ車を時々見かけます。霊園に眠っている故人に、〝無言ではあるが心からの挨拶をする〟という意味を含めて設置されていると思います。

時代は大きく変化し、現在の樹木葬や合葬墓が多くなり、又、墓じまいも年々増えてますが、基本は変わっていないと思います。どんな時代でも身内の故人との絆は存在します。
お墓参りがなくなることはないでしょう。
お墓参りの原点は故人とゆっくりした時間を過ごすことと思います。商品がそのお手伝いをしているという事は、とても嬉しく思います。この商品をやすらぎ塔と名付けてました。

もう何年になるのだろう・・・

                       ベルストン株式会社  大友保男

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